センセイと一緒 ~feel.Naoki~
「ダメだよ。ここで理解しとかないと、ますますわからなくなるよ?」
「……」
「はい、じゃあもう一度説明するからね? ……この循環小数は、循環する部分と……」
直樹は再び鈴菜のノートにペンを走らせ始めた。
……ふわりと香る柑橘系の香り。
長い睫毛、精悍な頬……
鈴菜はドキマギしながら直樹の解説を聞いていた。
「じゃあもう一回、さっきの問題をやってみようか」
「……う、うん」
鈴菜はノートに向き直り、もう一度先ほどと同じ練習問題に取り掛かった。
直樹は教職志望と言ってはいたが……
教えることが好きなのだろうか。
などと思っていた鈴菜に直樹が横からペンでノートを指差す。
「あ、そこはそうじゃないよ。そこの数値は……」
鈴菜はペンを止め、直樹を見た。
……なんだろう。
なんだかこのままエンドレスになりそうな予感がする。
鈴菜は背筋を強張らせながら直樹の説明を聞いていた。