センセイと一緒 ~feel.Naoki~
「うん、そうだね……」
「森下さん……」
「間違って男湯に入ったのは私だから。びっくりさせてごめんね、笠原君」
鈴菜は少し笑い、直樹を見た。
極力いつも通りに話そうと努めながら。
「何か用事があって来たんだよね?」
「男湯の鍵を閉めるように黒瀬先生から頼まれたんだ」
「じゃあ、もう中には誰もいないから。締めても大丈夫だよ? ……じゃ、私は先に戻るね。おやすみなさい、笠原君」
「……おやすみ、森下さん」
鈴菜は直樹にもう一度笑みを返し、くるりと踵を返した。
……まだ心臓がバクバクする。
鈴菜はタオルを握りしめ、震える足を必死に動かして部屋の方へと歩き始めた。