センセイと一緒 ~feel.Naoki~



「鈴菜……」


もう、想いを隠しきれない。

直樹は勉強合宿でのことを思い出した。

……湯煙の中に立っていた、鈴菜の姿。

見ていない、とあの時鈴菜に言ったのは嘘ではない。

あの瞬間。

衝撃のあまり頭が真っ白になり……気が付いたら浴場の外にいた。


しかし、部屋に戻ってから……

直樹は断片的に鈴菜の姿を思い出し、頭を抱えた。

……うっすらと上気した白い肌、華奢な躰……

思い出すだけで、熱いものが体の奥から込み上げる。

結局その日、直樹は一睡もできなかった。


直樹は窓から校門の方を見た。

鈴菜はまだ近くにいるかもしれない。

佑一と会う前になんとか鈴菜を引き留めたい。

直樹は鞄を取り、急いで教室を出た。


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