センセイと一緒 ~feel.Naoki~
戸惑う鈴菜を、直樹は正面からじっと見つめた。
熱情と切なさが入り混じった瞳。
――――あの夜見えなかった、直樹の瞳。
その熱さに、その切なさに……
鈴菜は吸い寄せられるように直樹を見つめていた。
「森下さん、俺は……」
と直樹が言いかけた時。
キキッという音とともに、バスが止まった。
その音に、鈴菜ははっと我に返った。
それと同時に、一気にいろいろな感情が胸に押し寄せる。
鈴菜は混乱したまま、とっさに逃げるようにバスに飛び乗った。
「森下さん!?」
直樹の声が窓越しに響く。
鈴菜は座席に座り、バッグを膝に置いて頭を抱え込んだ。
……どうしよう。
……どうすればいいのかわからない。
やがてバスはゆっくりと駅の方に向かって走り出した……。