センセイと一緒 ~feel.Naoki~
「命題と証明?」
「……う、うん」
「それはね、十分条件が……」
と直樹がペンを片手に話し始めた時。
鈴菜は慌てて問題集を閉じ、無理やり笑顔を作って言った。
「ごめんね、笠原君。私、今日用事があって……」
「……?」
「急いで帰らなきゃならないの。……じゃあね、笠原君!」
鈴菜はばさばさと鞄に教科書やノートを突っ込み、慌てた様子で教室を出た。
明らかに不自然だが仕方がない。
教室を出ていく鈴菜の背を、直樹の瞳が訝しげに見つめていた。