センセイと一緒 ~feel.Naoki~



衝撃のあまり頭が真っ白になる。

直樹はふらつきかけた鈴菜の躰の後ろに手を回し、ぐいと抱き寄せた。

ふわりと鼻先をかすめる柑橘系の香り。

直樹の体温、均整のとれた胸板、力強い腕……

そして至近距離に迫る、端整な顔。

鈴菜は呆然と直樹を見上げていた。


「もう一度言うよ。俺は君が好きだ。俺と付き合ってほしい」

「……っ、笠原君……」

「君の返事が聞きたい。……答えて、森下さん?」


直樹はじっと鈴菜を見る。

胸の奥から熱い想いがこみ上げる。

鈴菜はそれに押されるように、こくりと頷いた。


「わ、私も……」

「……?」

「私も、笠原君が、好き」


それは精一杯の告白だった。

胸からあふれ出る想いを、必死に言葉にした。


――――次の瞬間。



< 90 / 211 >

この作品をシェア

pagetop