天使⇔悪魔
「何をそんなに…怖がってるの?」
 
 
私は最初から気になっていた。
 
黒魔は白魔とは違い、素の自分を出さないことが…。
 
 
人と距離をとって決して、自分の中に入らせようとしないことが…。
 
 
 
まるで何かを怖がっている様だった。
 
 
 
「…怖がってる、か。
そうかもしれませんね。」
 
 
一息おいてから、冷静に黒魔は話し始めた。
 
 
 
「何十年も前、僕は一人の人間に恋をしました。
僕はその人のことを心から信じていました…。
 
 
でも、その人は…人間の男に心が移り変わったんです。
…そして僕を捨てました。」
 
 
……黒魔。
 
 
「悪魔なんて化け物だ…って言ってね…。」
 
 
 
「だから、僕はもう…誰も信じない!」
 
 
 
「わ…私は黒魔のことを絶対に裏切ったりしない!!」
 
 
「…そんな言葉、聞き飽きました。」
 
 
 
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