悲哀少女
―1
赤ずきんを被ったその子は
「やっぱり、ライは赤が似合うね」
ライゼと言う名の、 可愛らしい顔をした男の子。
「母さん、いい加減やめてよ」
彼はいつも、女装をさせられていた。
「僕は男なんだよ!」
「でも母さんは女の子が欲しかったんだもの。ほら、この籠を持って」
「スカートなんか嫌だってば」
籠の中に入っているアップルパイについ気を止めながらも、彼は必死に訴える。それはとても 可愛らしい表情で。
「仕方ないわね。 スカートだけなら履き替えていいわよ」
けれどやっぱり、履き替えたズボンも、可愛らしい物。