デュッセルドルフの針金師たち後編

フッセンのお城

ニュルンベルクはギルドの町。第二次大戦の裁判でも有名。
駅からすぐにギルド村だった。ドイツ固有のマイスター制度。
親方と徒弟との伝統技術熟練伝承制度。いろいろな分野がある。

皮細工、ガラス細工、ワイヤークラフト、からくりおもちゃ。
食品も多い。全てのハンディクラフトがギルドの名の下に
集約されていた。

この職人気質はドイツのいたるところで垣間見える。
それらしきオヤジさんに『はいマイスター』と
呼びかけるととても喜ぶ。

さて、のどかな田園地帯の中をチロリアン風の建物を眺めながら
フッセンのお城へと向かう。なだらかな丘を上ったり下ったり
くねくねと道は続く。フッセンは山岳国境のすぐ手前だ。

二つの美しいお城が森と泉に囲まれてそびえている。
観光客の団体に紛れ込んでガイドの説明を聞きながら
お城の中をめぐる。

バイエルン最後の王ルートビッヒ二世は少し変わった人で
妃をめとらず、ワーグナーのオペラとお城造りに全てをかけて
国の税金を注ぎ込み、最後は湖に身を投げて死んでしまった。

その分オペラとお城は後世に残った。バイロイトの音楽祭の
チケットは数年先まで予約済みだというし、フッセンのお城は
どんな角度から見ても美しく見えるようにと設計されているし。

こういう人が歴史にぽつぽつと現れてすばらしい作品を残した
のだろうか?人類のためにとか庶民のためにとかいう発想では
なさそうだし、いくら美を追及しても、宇宙のはてのように

突き詰めれば突き詰めるほど、狂おしく空虚になっていくのでは
ないだろうか?と思うのだが・・・・・・。
フッセンのお城はしかしヒッピーにはとても厳しい所だった。
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