デュッセルドルフの針金師たち後編
第15章メルヘン街道

チューリンゲンの森でUFO

それは真夜中、12時ごろのフランクフルトの北方、
チューリンゲンの森の中のアウトバーンでの出来事だった。
パーキングエリアで仮眠している時だ。助手席のマメタンが、

「ねえ、オサム見て」
「・・・・・・」
「あの光へんよ。ねえオサムおきて見てよ、UFOかもよ?」
「えっ、UFO!うそー?」

オサムは身を乗り出してじっと暗い空を見る。
ここはかなり標高がある。谷間の村の灯火をはさんで向こう側に、
星空の中おおきな山影が見える。少し目が慣れてきた。

「どこ?」
「左の端の山の中ぽつんと灯が見えるでしょ。じっと見てて、
大きくなって動き出すから」

ほんまかいな。オサムはさらに身をせり出して助手席の窓に
額をくっつけた。

「ほんまや」

灯火が鼻炎カプセル大になった。かなり明るいオレンジ色だ。
と思うまもなくすすすーっと中腹を右に水平移動して、
頂上付近で止まって消えた。
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