怪談短編集
私は滑り台の階段に腰掛けた。
「おねーちゃん、そこに座らない方がいいよ」
一人の男の子が言った。私は首を傾げた。
「え?」
「そこ、座ったら痛いことになるんだよ」
私は男の子の頭をなでる。
「何でなの?」
「ねえ、かくれんぼ、しようよ」
男の子はそう言って、シーソーの向こう側の砂の山の方に行ってしまった。
ったく。自分勝手な子だ。
私はヤレヤレと首を振った。
十秒数えた。まだ、三時半。決して遅い時間じゃないが、私はそろそろ帰りたかったから、あの男の子をちゃっちゃと終わらせることにした。
あの子は、シーソーの方に行ったから、そこらへんを捜せばすぐに見つかるだろう。
歩き出して私は気付いた。
さっきまで遊んでいた小学生たちが消えていた。妙に静かだと思ったら、誰もいなかった。