怪談短編集
さっきの男の子を捜す。シーソーの裏には誰もいない。っていうか、そこに人が隠れられそうな場所は存在しない。唯一、木があるものの、幹が細すぎて隠れられない。
私は狐に抓まれた気がして公園を出た。家に帰りたかった。
だけど、何だかモヤモヤする。何だろう。何にモヤモヤしているんだろう。
それはすぐに分かった。
町の住民が、消えていた。というより、人がいた気配がないのだ。
洗濯物が干されていたり、手入れされた花壇を見る限り、生活感があふれているから、誰かが暮らしていたであろうことはわかる。だけど、人だけがが突如消えたみたいに誰もいない。存在していた痕跡すらない。
私は急に怖くなって、人がいそうなコンビニに向かった。