怪談短編集
そのとき、思い出した。
引っ越してくる前の学校で友達とかくれんぼをした、あの日。
鬼だった裕輔は体育館倉庫に隠れた私を見つけられずにこう言ったんだ。
「ギブアップ!わからないから、出てこいよ!」
降参の言葉を叫んでた。だから、私は隠れ場所を離れたんだ。
じゃあ、これも一緒なんじゃないかな?
私は女の子に耳打ちした。
「せーの」
私の合図で、女の子が口を開け。二重奏(デュエット)で私たちは叫んだ。
「「ギブアップ!わからないから、出てきてよ!」」