怪談短編集
皆がカヌーについて講義を受けるため、建物に入っていくのを、俺とバラーはバスの物陰から見ていた。
「よっし、行くぜ!」
バラーはご機嫌だ。
「バラー、カヌーの保管場所を知ってんのかよ?」
俺の質問に、彼は呆れ顔になった。
「愚問だな、アレックス。そんなこともわからないのかい?」
機嫌がいいときのバラーは、正直、天狗になっている。
見下したような言い方に、俺は不満を覚えた。
「何だよ。偉そうに」
「お前、知らないんだろ?カヌーってのは、大体…」
言うなり、バラーは走り去ってしまった。
逃げ足の速いヤツだ。