怪談短編集


「どうやって、入るんだよ?」

 俺が聞くと、またしても、バラーが溜息を吐いた。

「愚問だな」

 なっ!?

「見ろよ、アレックス。そこにロープ、垂れてんだろ」

 あ。

 俺は恥ずかしくなった。

 真ん前に、ロープはあったんだ。

 バラーは器用にロープをよじ登ったかと思うと、大きな船の手すりの向こうに消えた。

「うわっ!!」

 間もなく、彼の悲鳴が上がり、俺はゾッとした。

「バラー!?どうした!?」

「アレックス!来てみろよ!これはやべぇぞ」

 俺はロープに摑まる。が。

「あ、カヌーにロープ、つけとけよ!流されたら、困るから!!」

 バラーの声。すぐに、二本のロープが降ってきた。

「りょーかい」

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