怪談短編集
3.ハンター
海を覗き込んで、俺たちは絶句した。
カヌーがない。
ロープの手繰り寄せてみると、先端の方がちぎられたみたいに消えていた。
「潮の流れに負けて、ちぎれたのかな」
バラーの顔は引きつっている。
「とにかく、操縦室にある、無線機で連絡しよう」
俺の言葉に、バラーが頷いた。
操縦室も、恐ろしくヌルヌルしていた。
俺とバラーは、無線機を探した。
それは、すぐに見つかった。
「これで、助けを呼ぼう」
バラーが、無線機で連絡を取る間、俺は外に出ていた。