怪談短編集
そう、それは間違いなく、ネズミ。…の、死体。
「捕まえてくれたんだ?」
クールは誇らしげに、前足でネズミをメロディに押しつけてくる。
「ありがと、クール。でも、近づけないで…」
母よりかは平気と言ったって、ネズミが好きなわけじゃない。
どちらかといえば、嫌いに、分類されるだろう。
クールは、機嫌を損ねたか、鼻を鳴らして、踵を返した。
「これ、どうしようなぁ…」
死んでいるとはいえど、ネズミに触りたくはない。
物置まで行って、箒と塵取りを持ってくることにした。