怪談短編集
2.増えている…?
翌朝、毒餌の近くにネズミの死体が転がっていた。
死体がなくても、齧られた餌があるのを見ると、巣の中で死んでいるのかもしれない。
母が、家事をしない宣言をしたせいで、いつもは一番遅くまで寝ている父が、台所に立っていた。
「ネズミ、けっこう死んでるだろ」
父が、昨日のクールみたいに誇らしげに言った。
「うん。このままだと、すぐに終わりそうだね」
メロディは、ネズミを眺めた。
触りたくないから、あくまでも見るだけ。
「どのくらいのネズミが死んでいるのかな?」
業者の話だと、ネズミは、そこまで棲みついていないそうだ。
だから、すぐに退治は終わる。
「かなり、死んでるんじゃないか?…メロディ、皿を出してくれ」