怪談短編集


 カサカサカサ…。

 何かが、走り回るような、音。


 怖くなって、顔を、音の方へ向ける。


 闇の中で、いくつもの赤い光がこちらを見下ろしていた。


 二つずつでペアになっている、赤い目。


 懐中電灯を点ける。


 棚に、床に、ネズミの大群がいた。


 何匹だろう。

 かなりの数だ。

 百は軽く超している。

 もしかしたら、千…否、万か…?


「きゃぁぁっ!」


 メロディは、地下室を飛び出した。




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