怪談短編集

3.罠にかかって…



 翌朝、また数匹のネズミが捕獲された。


「きゃぁ!」


 父が朝食を作っているさなか、二階で、悲鳴が上がった。


「どうした!?」

 母の寝室に入る。

「…こ、これ…」

 母が、指差す方を見ると、クローゼットの中の、抽斗に入った衣服は汚れていた。


 ネズミの、糞によって…。


「何で?ネズミは、上にもいたの?」


 メロディは、呆然としてしまった。


「…私、家を出るわ。ユーリエの家に行く。ネズミがいなくなったら、連絡をちょうだい」


 言うなり、母は、家を出て行った。

 ユーリエ。母の妹だ。


「メロディ、オマエも行きなさい」

「ううん、行かない。ここを、離れたくないから」




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