怪談短編集


「メロディ、やっぱり、ここを離れよう。クールもつれて三人で、母さんの所へ行くんだ」


 父が、決断を下した。


「…うん」


 メロディは、頷きかけ、クールを探した。

 彼女を、朝から見かけていない。

「クール?」


 ふと、台所に目をやると、クールの白い尻尾が見えた。


「クール!」

 しかし、何かがおかしい。

 何が?


 あ。

 クールは、横になっていた。

 首を、ネズミ捕りに挟まれて。

 口から泡を吐き、目をカッと見開き、彼女は死んでいた。


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