怪談短編集
母は、きれい好きで、部屋をいつもきれいにしておきたがる。少しでも散らかると、怒られる。
まあ、僕の部屋は散らかり過ぎで、怒りを通り越して呆れちゃったらしいけどね。
僕の部屋にだけ掃除機をかけたがらないのも、散らかり過ぎが問題なんだと思う。
だから、じぶんで部屋に掃除機をかけるよう言われている。
もっとも、掃除機をかけたことはあまり、ないけどね…?
「着いたわ」
母が、グローブを外しながら。母は、運転するときにグローブをはめる癖がある。
僕の家は、団地の一番広い所にある。
小さな門をくぐって、敷地に入り、母が玄関の鍵を開ける。
そして、何を思ったか、
「ね、そのオウムだけれど。ガレージの中で飼わない?」
父に言った。
「さすがに、それは可哀想だよ」
父が、母をなだめる。