怪談短編集
ダレンが、こんなに唸ること自体、珍しいし。きっと、何かがあるんだ。
「とにかく、こんなのを飼うのは嫌!」
母が、ヒステリックな声を上げて。
「私は、お父さんに似て、動物が嫌いなんだから!」
…アレ、さっきはそう言われて怒ってなかったっけ…?
僕は、肩をすくめる。
都合の悪いときには、すぐこうなんだから。
「じゃあ、こうしよう、クリスティン。一週間だけ、室内で試し飼いしてみるんだ。それでもいやなら、ガレージで飼えばいい」
父の提案に、母が渋々賛成した。
僕は、まだいやだったけど、一対二では分が悪い。
仕方なく、賛成した。
けど、僕はこのとき、絶対に反対するべきだったんだ。
反対しておけば、僕の—いや、家族の運命は変わっていたんだ。