怪談短編集


 ダレンが、こんなに唸ること自体、珍しいし。きっと、何かがあるんだ。


「とにかく、こんなのを飼うのは嫌!」

 母が、ヒステリックな声を上げて。


「私は、お父さんに似て、動物が嫌いなんだから!」


 …アレ、さっきはそう言われて怒ってなかったっけ…?


 僕は、肩をすくめる。


 都合の悪いときには、すぐこうなんだから。


「じゃあ、こうしよう、クリスティン。一週間だけ、室内で試し飼いしてみるんだ。それでもいやなら、ガレージで飼えばいい」


 父の提案に、母が渋々賛成した。

 僕は、まだいやだったけど、一対二では分が悪い。

 仕方なく、賛成した。



 けど、僕はこのとき、絶対に反対するべきだったんだ。

 反対しておけば、僕の—いや、家族の運命は変わっていたんだ。


< 148 / 195 >

この作品をシェア

pagetop