怪談短編集
でも、こんなのはまだほんの序の口だったんだ。
翌朝、僕が起きるとニーズヘッグがリビングを飛びまわっていた。
母も父も、既に起きていて、オウムの糞だらけのソファに腰掛けている。
多分、一晩中オウムは暴れたんだろう。
室内は、竜巻か、ハリケーンに襲われたんじゃないかってくらいに散らかっている。
でも、誰も片付けようともしなければ、オウムを咎めようともしない。
二人とも、抜け殻みたく座ってるだけ。
「母さん、オウム、しまわないの?」
僕の質問に、
「マルクス、バカなこと言わないで。ずっと檻の中に入れてたらオウムも可哀想じゃない」
母が、ヒステリック寸前の声で答えた。