怪談短編集
それから、母がふとダレンに目を向けた。
「マルクス、その犬を家に入れないでちょうだい!!」
え?
僕は、ダレンを見た。
「母さん、何言ってるの。この子はダレンだよ。ずっと家に入れてたじゃないか」
すると、今度は父が口を開いた。
「忘れたのか、マルクス。母さんは犬が大っ嫌いだったろ?早く、その犬をガレージにでもつないで来なさい」
そんなの、嘘っぱちだ。でも、僕は、開きかけた口を閉ざす。
今の二人はオウムに操られているんだ。言ってることは全て、オウムの書いたシナリオ。
「嫌だ」
僕は、言った。
「マルクス!!」
「ダレンは、僕の大切なペットだ!外になんか出すものか!!」