怪談短編集
2.壁掃除
翌朝、僕とジャスティンはイヤイヤ、大叔母さんの家の門をくぐった。
僕の家と大叔母さんの家は結構近い。十分あれば、行き来できる。
『仕事が終わるまで、絶対に帰って来るな』
今朝、父さんに言われたのを思い出して、僕は肩を落とした。
家全体の掃除を命じられたらどうしよう?とてもじゃないけど、終わらないね。
だって、大叔母さんは掃除が大の苦手。家中が埃まみれなんだ。
「よく来たね。悪戯小僧ども」
呼び鈴を鳴らすと、大叔母さんが出てきて、僕らの顔を見るなりそう言った。
大叔母さんが喋っている間、彼女の口から、酸っぱいレモンの臭いがした。