怪談短編集




 ふと目を開けると、僕の後ろには草原があった。左にも、右にも。



 僕は回れ右、進もうとして、体を打った。



 どこで?



 体をぶつけるような場所はないのに。



 僕は前を見て、愕然とした。



 大叔母さんの家の、部屋がある。



 向こうの壁に描かれた絵の、恐怖の顔を浮かべた少年が見える。



 そうか、僕は絵の中に――あの、誰もいなかった壁画に取り込まれたんだ。



 たぶん、ほかの絵の子たちもそう。だから、みんなの顔はゆがんでいたんだ。




 ガチャッ。


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