怪談短編集
すると、マークが立ち上がった。
「僕、帰るよ」
「え?デートは?」
ルーシーが素っ頓狂な声を上げる。
「僕、忙しいんだ」
ルーシーは腕を組み、鼻を鳴らした。
「なんて無愛想なの!!」
サブリナは苦笑した。
「きっと、あのメールのこと、気にしてるんだわ!」
すると、ローテが眉を寄せた。
「メール?何言ってるの?」
「マークってば、サブリナに変なメール送って来てるのよ」
ローテの顔が険しくなった。
「マークは携帯を持ってないよ」
そうだった。番号を聞いたとき、彼はそう言ったんだ。だから、番号を持っていない筈なのだ。