怪談短編集
蝋人形の罠
1.人形の館へようこそ
「君も偉人たちと写真を撮ろう、一生の宝物になるよ…だってさ!!」
目の前のポスターを読み上げたケイシィは、それっきり大爆笑している。トゥークも、ポスターを見て思わず吹き出す。
本物たちとは全く似ていない蝋人形が、カメラ目線でこちらを見ている。下に書かれた英語は、ケイシィが読み上げた文面そのまんまだ。
「こりゃ、ひでぇ。誰が作ったんだよ?全然似ていないじゃないか」
トゥークの言葉にアリシアとリリーが大爆笑する。
「本当だ。ジェイはもっとイケメンだわ。このポスターのジェイを見てよ、リリー。ロン並にへちゃむくれね!!」
リリーが腹を抱えて笑い出した。
「し、静かに」
教育実習のマックス先生が、上ずった声を出した。