怪談短編集
「ここには、他の市民の方もいるんですからね。団体行動をいつも以上に…」
先生の言葉なんて、誰も聞いちゃいなかった。遠くで喋る、おしゃれグループのミネルバは、先生より声が大きい。こっちはこっちでアリシア、リリー、ケイシィが大爆笑しているし、ふざけっぱなしのエリックもポスターの人形の真似をしている。
「でも、あの先生は駄目だね。早くいなくなってくれないかな。調子が狂うっての」
ケイシィが言った。
「うん。でも、マックス先生がいたから、ここに来れたんでしょ?」
リリーが言う。
「そうだけど、別に俺ってば興味ねえもん。蝋人形なんてさ!」
言いながら、ケイシィはポスターの中のジェイの物真似をする。リリーが、余計に笑う。
「でも、退屈な授業よりはマシかもよ」