怪談短編集

 アリシアが、授業中のマックス先生の真似をした。

「とにかく、今から入場します。点呼するので館内に入ったら、展示室の前で待っていてください」

 上ずった声に、誰かが、

「他の人の邪魔になりまーす」

 先生をからかった。

「ねぇ、あのお婆さんも蝋人形かな?」

 聞いてみると、ケイシィが大笑いした。

「ホントだ!!全然動かない!!」

 券売り場に座り込んだお婆さんは、しわまでリアル。まるで、本物だ。

「では、進んでください」

 先生が言った。

「ちゃんと数えてよ?」

 ミネルバが、先生に念を押して、皆が爆笑した。

< 56 / 195 >

この作品をシェア

pagetop