怪談短編集
2.駅に佇むホームレス
引っ越しは、夏休みに行われた。皆には、東京に行くのが羨ましいと言われ、何とか立ち直れたけど、やっぱりお別れは悲しかった。
それは、親友の良毅も一緒だったみたい。夏休みまでの三日間、彼は落ち込んでいて口数も減った。
「また、連絡してくれよ」
良毅が、夏休み前日にそういった。その言葉が、嬉しかった。
「お前は友達がすぐできるタイプだ。大丈夫、あっち行っても今みたいに人気者になれるさ」
僕は、この言葉を何よりも大切にしよう、そう決めた。
そして、夏休み一日目、僕らはとうとう、引っ越した。