怪談短編集

「これはマリーだな。何か、本物より老けて見える」

 トゥークは言ってから人形を見て、悲鳴を上げた。

 今、蝋人形の目が光った?

 絶対に、気のせいじゃない。確かに、人形の目じゃなかった。少なくとも、さっきの一瞬だけは。

「どうしたんだ?急に絶叫して」

 ケイシィが、笑いながら。

「蝋人形…目…」

 言葉が出ない。

「目ぇ?この腐った濁ってる目がどうしたんだい?」

 もう一度、見る。

 今度は、もう作り物の目だった。

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