怪談短編集

 リリーが叫んだ刹那—。

「きっ、きゃああぁぁぁ!!」

 アリシアが、不意に絶叫した。

「アリシア!?」

 彼女は、叫びながら、次の展示室へ駈け込んでしまった。

「おいっ!」

 慌てて、後を追うとアリシアは満面の笑みを浮かべて立っていた。

「引っかかった♡」

 何だ、冗談か。

 ホッと胸を撫で下ろす。どうやら、ここは昔の偉人の蝋人形のようだ。

「ねえ、トゥーク」アリシアが耳打ちしてきた。「さっき言ってた人形の目が人間の目だったって、本当?」

 今更、何だろう。不思議に思ったが、頷いた。

「じゃあ、信じてくれるよね」

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