怪談短編集
「何を?」
小声で聞いた。
「さっき、ジュリエットの手を握った後、私、悲鳴上げたでしょ?」
「冗談、って言ってたアレ?」
アリシアが頷く。
「あれね、冗談じゃないの。手を握ったときね、蝋人形が確かに握り返してきたのよ!それにね、蝋人形の手、温かかった。まるで、人みたいに」
背筋が、凍りついた。蝋人形が…?
「ねえ、信じてくれるよね?」
トゥークは、小さく頷いた。
あの、蝋人形は生きているのだろうか?