怪談短編集
3.秘密の部屋
次の展示室は不気味だった。
「心臓が弱い人は、走ってここを抜けてください。だってさ」
ケイシィが言った。
「アンタたち、大丈夫よね?」
リリーの質問に頷く。
「何だ、全然怖くないな」
あんな張り紙がしてあるのだから、怖いのかと思っていたけど、期待外れのようだ。
そのとき、首筋に、吐息を感じた。
おかしい。トゥークは、しんがりの筈なのに。
「この展示室、人形がなかったわね」リリーが言って、こっちを振り向く。「あれ?ケイシィは?」
ケイシィは、先頭のリリーの後ろにいた筈。
「ぃやああぁぁぁ!!!」
アリシアが、絶叫して、トゥークは後ろを見た。
すぐそこに、オオカミがいた!!!