怪談短編集
「驚いた?」
オオカミが喋り、アリシアがもっと悲鳴を上げる。
「俺だよ、ケイシィ」
オオカミの頭がスポンと取れて、ケイシィが顔を出す。
「ケイシィの、馬鹿っ!!」
トゥークは、見逃さなかった。一瞬、ケイシィの顔が歪んだ。
次の展示室に入る。
「ねえ、そろそろ先生たちと合流しても、おかしくはないわよね?」
リリーが言った。そういえば、そうだ。
「まさか、道に迷った?」
何ていうケイシィの意見は無視される。当然だ。迷うなんて絶対にありえない。