怪談短編集

「おや、さっきのタロット、水晶が嫌いな…」

 占い師が微笑んだ。

「あなたには、特別なことをしてあげましょうか」

 彼女が言う。特別?

「これです」

 ウサギの、尻尾だろうか。

「これは?」
「ウサギの尻尾です」

 これで、厄払いでもしようってのか?

「不満ですか?これは、願いを一つかなえてくれます」

 インチキの匂いがする。

「冗談だろ?」
「これを握って、願いを唱えるだけです。いまのところ、やった方十名、皆願いを叶えています」

 十人が、十人とも、願いを叶えた、だと?

 これに、かけてみよう。

 ジョンはウサギの尻尾を握った。

 願い事を、唱える。

「願い事は、慎重に選ぶべきだと思いますが」
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