怪談短編集


 まさか。

「でも、何で母さんは知ってるの?」
「卓也くんのお母さんに聞いたの」

 母は、あっさり彼氏の名前を出した。

 梨子が何も言わずにいると、

「今度、母さんが何かかってあげる。何がいい?」

 母が悪戯っぽく笑って。

「ゲーム」
「いいわよ。その代り、あなたは受験生なんだから、時間は制限すること、いいわね?」

 梨子は、嬉しくなった。

「それと、父さんには内緒ね」

 梨子は大きく頷いた。

「あ、梨子だけズリィよ。母さん」

 兄がふて腐れて。

「何言ってるの。あなたはいつも父さんを説得して欲しい物買ってもらうじゃない」

 母が苦笑した。


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