怪談短編集


「梨子、どうした!?」

 これは、兄の声。梨子は、ハッと目を開けた。

「んあ?」

 母も、父もいた。

「なんだよ、すげえ絶叫したから、心配したのに」

 三人とも、呆れたように出て行った。

 まだ、心臓が大きな音をたてている。パジャマも、汗でぬれていた。

 やっぱり、人形を置いてはいけなかったんだ。

 梨子は、人形を睨みつけた。

「!」

 人形が、不適に笑った。

 梨子を嘲笑うかのように。



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