【完】七夕〜六色目のあなた〜
彼を忘れようと一心不乱に仕事をして、こうしてあっという間に一年が経ってしまっていた。
ビールを片手に、アパートのベランダから空を見る。
天の川の光って、そんなに強くないって聞いたことがある。
明るい東京じゃあ、どれが天の川なのかさえ分からない。
なんで、逢いにいかなかったのだろう。
行こうと思えば行けたのに。
どうせ、東京じゃ見られない天の川。
自分が行けば良かったのだ、彼の元に。
明かりは、砂利道の脇にある電灯だけ。
周りに家なんかなくて、聞こえてくるのはカエルの鳴き声と、近くを流れる川の音。
帰りたい……。
二人で過ごしたあの場所に。