【完】七夕〜六色目のあなた〜
七夕は五色の短冊だと言うけれど、彼への願いは六色目の色でなければ叶わないと思った。
彼を色で表すとしたら何色なのだろう。
穏やかで、笑うと太陽みたいで、私の頭を撫でる手は温かい……。
残念ながら、アパートには笹も飾りを作る折り紙も、願いを書く短冊も何もない。
「私の、バカ……」
彼のお父さんが竹やぶからとってきてくれた笹に飾りや願いをつけた思い出がフラッシュバックする。
もう、戻れないのかな?
その時、携帯が鳴った。
信じられなかった。
どうして、今日このタイミングで、彼から電話がかかってきたのか。