覚醒彼女~君と生きたい~
ノアは不安げに僕の腕をギュッと抱き着く。


ノアを一度みて、僕たちは
入った。


中は雨漏りしていて、
天井から落ちる雫を受ける容器が不思議なメロディを奏でている。


「…………」


老人は何も話さず、僕たちにそこへ座れと言わんばかりに顎をくいっと動かした。


僕たちは、少し湿った床に腰を下ろした。


あちこち見回しては悪いだろうと僕は老人の方へ視線を固定した。


でも、ノアは首をまわして
いろいろ見ているようだ。


「…で、あんたらこんなとこに何しにきよった?雨宿りしても、止まねぇぞ。」


無愛想に僕を見た。


「あの、ロックさんに…」


「ロックだと!!ロックの回しモンかい!!とうとう、この老いぼれにも死神がやってきよったわ!!」


老人はロックという言葉に反応し、人が変わったように叫んだ。


その瞳は、鈍く光ってる。

< 54 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop