覚醒彼女~君と生きたい~
老人は僕たちに話し出した。
その目に涙を溢れさせながら。

ここは争いの地だった。
という言葉から始まり老人の口調は重々しいものになった。


「息子はこの雨の中、ダム工事に携わり足を滑らせて死んだ。無理もねぇ。
休ませもしねぇで、冷てぇ雨の中、満足に道具もねぇのに酷い重労働をさせてたんだからあたりめぇだ。」


僕たちは老人にかける言葉が
みつからなかった。


「わかるか?この悔しさがよ!幸せがくる、とロックを信じたばかりに息子を失ったこの気持ちが!!」


「おじいちゃん…」


ノアを見ると涙が一筋
光っていた。


「ここいらの奴らは、
みんなロックの計画に乗って家族を無くしたモンばかりだ。

ロックの近くにいるのは、奴に怨みの念を見せつける為よ。

わしの生き甲斐は、ロックの顔が歪む日が来るまで毎日このあばら家から奴に嫌がらせする日々よ。」


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