覚醒彼女~君と生きたい~
老人の怒りは、ひしひしと肌へと伝わってくる。


僕の中のロックのイメージも
変わりつつある。


「だがよ…、皮肉なもんだ。
そのダムがあるから川も大きな氾濫しねぇ。」


老人は、ぐったりと肩を落として深いため息をついた。


「息子が、イニアートが、守ってくれてるんじゃないかと思ってしまう…。」


老人は、ふぅと声を漏らした。

「さあ…て、ロックの居場所だったか…。
奴は、赤い屋根の小屋にいる。ここからもう少し歩いて、一本の大木が見えたらすぐだ。」


「ありがとうございます。
おじいちゃん。」


「はは。久しぶりだ。
こんな老いぼれの愚痴を聞いてくれたのはよ。」


老人は、ノアに笑顔を向けた。

その笑顔に寄り添うように、ノアも笑顔を向けた。


「ロックに何かされても、イニアートがおめぇたちを守ってくれる。」


老人は、僕たちの手を力強く握りしめた。
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