覚醒彼女~君と生きたい~
ただ…、それだけだった…。
と、ロックさんは声を絞り出すように言った。


「ロックさん…??」


ノアは俯いてしまったロックさんと視線を交わそうとしていた。


「…私は、大勢の犠牲者を払いこの地にダムを完成させた。」


………………。


「私はダム建設に、多くの若者を募り従事させた。
自らは、まるで高みの見物のように安全な場所で指示を出しただけだった…。
現場もわからないのに、無茶な指示を出していたかもしれない。」


頭を抱えながら語られる。


ロックさんの苦しみ。


なんといえばいいのかわからない。


僕はまだまだこどもだった。


「私は、自分だけ…っ…。
英雄なんてもんじゃない。
…償いきれない…。
私がこの地にいるのは、罪を受け止める為だ。ここは…、私が殺してしまった人の家族がいるからね…。」


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