覚醒彼女~君と生きたい~
その時。

また、ノアの髪が逆立ち、口調がノアのものでなくなった。


「東の水門を開く…」


それは、いつものノアの声より低いがはっきりと発せられた。

「…ノア…?」


「…愚かなる人間たち…。安らかに眠れ…。」


また、一言呟くとノアは、きょとんとした表情で僕を見つめた。


―ガシッ

とっさにノアの肩を掴んだ。

「…った、なに…?…ルカ…。怖い顔してる…」


「…………っ…ごめん…」


僕は、ノアに指摘されて我に帰った。


ノア…


君は誰に使役されているんだ?

東の水門とは…何なんだ…?


「…ノア、東の水門って…なに…?」


静かに問い掛けた僕に、ノアは光のない目を向けて静かに答えた。


「…洪水…。東の土地は水の底に沈むの…」


< 80 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop