~2人の奇跡~*two miracles*
体育館裏には、もう林くんがいた。
「林くん。」
あたしが呼ぶと、彼は目を輝かせて振り向いたが、一瞬にして顔をしかめた。
「なんで桜木さんがいるの?俺が読んだのは空森さんなんだけど。」
「華恋が嫌がってるのわかんないの?だから、あたしが代わりに来たの。」
「はぁ?嫌がってる?あんなに笑って話してくれるのに、嫌がってるわけないじゃん。」
なに言ってんだ、この人…。話してるっていうか、一方的に喋りかけてるだけじゃん。
「はいはい。そういう思い込みが華恋を傷つけてるんだよ。嫌がってないなら、華恋はなんで自分でここに来ないの?なんであたしに助けを求めるの?」
「そ、それは…」
黙りこむ林くん。
「これで華恋の気持ちわかった?もう華恋に近づかないで。」
そう言ってあたしは体育館裏を去った。