プリンセスの特別な事情
入学式
私が借りているマンションから歩いてすぐの私立の大学。
今日から毎日ここに通うことになる。
みんな、期待に胸を膨らませたように校門から中に入っていく。
上を見上げれば私の気持ちとは裏腹に雲ひとつない真っ青な空。
入学式日よりだと言えるだろう。
私は、大学でも目立つつもりはない。
平凡に、かつ少し友達が出来て。普通のキャンパスライフを送れればそれでいい。
それに、私には目的がある。
まず今日はそれを第一に考えなくてはいけない。
そんなことを考えていたとき、後ろから肩をたたかれた。
「真紘?」
名前を呼ばれて後ろを振り返るとそこに居たのは美谷莉子(ミタニリコ)。私の高校時代からの友達だった。
莉子は私にあった出来事を知っている数少ない私の友達。