プリンセスの特別な事情



「ん…」


だんだんと意識が覚醒してきた。


気がついたらそこはお父さんの車の中。


「真紘、気がついたか」


そう声をかけられる。


「お姉ちゃん…お父さん、お姉ちゃんはどうなったの?!」


向かい側に座っているお父さんに飛びつくようにお姉ちゃんの安否を聞く。



「今、向かっている途中だ。…美尋は、助かるか分からない。お前も少し安静にしておけ。今倒れたばかりなんだ。本当は家においてこようかと思った。しかし、もし、美尋に何かあったら…真紘は死ぬほど後悔すると思ってな」



そう言ったお父さんの表情は苦しそうだった。


< 27 / 59 >

この作品をシェア

pagetop